「クラス3人一緒だったよ。やったね!」
「まあじすかっ」
「まあじすよ」
紗江はにかっと笑い、Vサインをあたしに向けた。
あたしもピースをして、指をくっつけ笑った。
まだあたりは騒然としていて、でも決して嫌な感じのうるささではなく、なんか、こう、新しい空気に満ちあふれた雰囲気だ。
クラスのことで文句を言っている人もいれば、あたし達みたいな人もいる。
でも、やっぱり皆の表情は生き生きとしていた。
「でも、本当に奇跡だね。3人一緒なんて」
驚いたように言う愛に、ニヤニヤした表情で紗江が続けた。
「それに、安藤も同じクラスだしねー」
「悠人君カッコいいー!」
紗江の言葉にいつも言ってることを言う愛は、なんだか微笑ましかった。
「あーあーあー。やだねぇ、また愛ばっかモテちゃって。ささ、高科(たかしな)さん。さっさと教室行きましょう。」
「ええ、そうね綾代さん」
「ちょっと待って!カッコいい子がいるか、まだわかんないじゃん!」
慌てて変なことを口走っている愛を見て、あたしと紗江はバカ笑いした。
それから、次第に話は恋の話になっていき、あたしはというと、うんうんうなずいていることしか出来なかった。
だってそういう経験は、悲しいことにゼロに等しいからだ。
そんなあたしに気付いたのか、愛はあたしにこんな質問をしてきた。