ラプソディ・イン・×××

心の広い男だな、と思った。


色んなこと、承知の上で、

この育ての父親は、

佐野母娘を受け入れてたんだな、

と思った。



自宅に上げてもらった。


佐野椎南がいなくなった

その育ての父親の家で、

茶入れてもらって話をした。


本当の娘じゃないのに、

佐野椎南のことは、

今でも本当に大切な娘だと

思っているのだという。



話の流れで、

佐野椎南は、

県内トップクラスの進学校を

目指しているのだと聞いた。




オレも同じ高校を

受けることにした。



オレがその進学校を

目指すと聞いて、

母さんは大賛成した。



高校に入れたら、

サックスだって続けていいわよと、

上機嫌だった。



不倫相手の女の娘が

いることも知らずに。


ちょっとした反抗心だった。



見事、合格して、

オレたち異母きょうだいは、

同級生になった。



高校に入って、

初めて影が

やっと実体に変わった。


影などではなく、

ごく普通の

ありふれた人間の一人だった。

当たり前なんだけど。


わだかまりは

得に感じなかった。



一言、やっと会えた。

そう感じた。