「男子がバラ見にくるなんて

珍しいな」


再びバラに見入っていたオレに、

日岡が笑って話しかけた。



「育ててる奴に言われたかねぇし」

オレも笑う。


「そんなに気になるならいる?」


「え」


日岡は「切ってあげるよ」

とブルームーンを指差した。



あ、それならスミレにあげたいな。

キレイに咲いてるブルームーン。


一瞬頭をよぎったけど、

「咲いてんのに

かわいそうだからやめとく」

首を振った。



「じゃ写真だけ

撮らせてもらおうかな」



ケータイを取り出した。



取り出したとたん、

手の中で振動して

メールを受信した。



母からだった。


珍しい。





…その内容に、

オレは茫然と言葉を失った。