ラプソディ・イン・×××

「…そうか?

余裕に見えたけど?」



去年のあの夜。


勇気を振り絞って出てきたようには

思えなかった。



それくらい、

フリアはオレのサックスの横で

ノビノビと舞っていたから。



「まさか。

心臓バクバクだったわ」


フリアは、

おおげさに肩をすくめた。


それから、小さく笑ったあと、

フッとマジな顔になった。


ためらいつつ、口を開いた。


「…別れたこと、後悔してるの」



「…でも、

別れようって言ったのは

フリアだろ」



フリアは目を伏せた。


「…そうだね。

気持ちのどこかでは、

ウォッカを試す気持ちもあった。

ウォッカの本心知りたくて。

ほんの少しだけど期待してたんだ。

別れたくないって言ってくれるのを。


だけどウォッカは、

別れるって言ったよね?

だから、アタシも意地張って

友だちに戻ろうなんて

言っちゃったけど。


…ずっと後悔してた。

“友だち”ってなんなんだろうって。

距離のはかり方が分からないし…」