ラプソディ・イン・×××

親族が来る前に、

紙と鍵をポケットに突っ込み、

空のサックスケースを持って

オレは病院を出た。





結局、

佐野椎南は来てくれなかった。




一応、

佐野椎南の元義父に

葬儀のことを伝えた。


病院を見上げながら。



親父の死を知り、

元義父は、言葉を詰まらせた。


それから、

何度もオレに謝った。


『…本当に、申し訳ない。

シイナには、

何度か連絡したんだけど…』



「いいよ、気にしなくてもさ」



来ないと決めたのは、

佐野椎南本人だったってことか。


だったら、

しょうがないじゃん。




黒のセダンが

オレの横を走り去った。



会社の幹部か。


母さんもすぐに

やってくるだろう。


会社を奪われないよう

闘うために。





聞いたことがある。


死に際が、生き様だ、って。


すべては親父の自業自得だ。