「最期は聴いて逝きたい。
お父様のご希望でした」
看護師は、
プレイヤーを切らずに
出て行った。
二人だけの部屋に流れ続ける
ソロサックスの演奏。
往年の大物ジャズ奏者の
テナーなどではなく、
それに比べたら
拙いオレのアルトだった。
親父の病室を
片付けてやろうと思った。
万が一、親戚や母さんに
見られたくないものでも
残してたら、
死ぬに死に切れない
だろうしな。
片付ける程の物はなかったけど。
クローゼットを開けると
服やタオルの他は
ちょっとした日用品ぐらいしか
なかった。
何もかも捨ててしまったのか。
「なんで、こんなに
何もないんだよ。
…遺すもんはなかったのかよ」
結局、ここ来ても
いつもダラダラと話しただけで、
親父のちゃんとした遺言も
聞けずじまいだった。
オレの次に
病室に駆けつけたのは
親父の家の家政婦だった。
お父様のご希望でした」
看護師は、
プレイヤーを切らずに
出て行った。
二人だけの部屋に流れ続ける
ソロサックスの演奏。
往年の大物ジャズ奏者の
テナーなどではなく、
それに比べたら
拙いオレのアルトだった。
親父の病室を
片付けてやろうと思った。
万が一、親戚や母さんに
見られたくないものでも
残してたら、
死ぬに死に切れない
だろうしな。
片付ける程の物はなかったけど。
クローゼットを開けると
服やタオルの他は
ちょっとした日用品ぐらいしか
なかった。
何もかも捨ててしまったのか。
「なんで、こんなに
何もないんだよ。
…遺すもんはなかったのかよ」
結局、ここ来ても
いつもダラダラと話しただけで、
親父のちゃんとした遺言も
聞けずじまいだった。
オレの次に
病室に駆けつけたのは
親父の家の家政婦だった。

