『ふふっ。あんたも苦労するわね』

『離れて』

『労ってあげてんじゃなぁい』

『あー、智美は、出来上がってる。まあとにかく、頑張れや』



彼等が出てくる前に部屋に戻った。

バックを整理して、教科書と一緒に、出てきたプリントを見る。それをぐしゃぐしゃに、丸めてから、ゴミ箱に棄てた。



「はあ…」



この季節は毎年、嫌になる。今年はどうやって、逃げきろう…。眠れないくせに、ベットに横になって考える。



「透希、母さん、父さん。おやすみなさい」



三人に挨拶をして、部屋の電気を消す。

もう少しで17歳。三人が死んで8年。今年の命日は、暑い日になりそう。音楽を聞きながら、浅い眠りの中で、ゆらゆら漂った。



『ーーーーー、ーー』



ふと聞こえた彼の声。

電話?彼は忙しい。時間関係なく、仕事をしてる。私の存在が、面倒事を増やしている。早く、出ていかなきゃ…。


「ごめんなさい」


あと少し。あと少しで、貴方を解放出来る。それまでは、必要最低限、迷惑かけないから…。