「知那、聞いてよ~」
「何?」
「昨日のドラマの――…」



数少ない友人と話して、授業を受けて、お昼ご飯を食べて、放課後は最後の最後まで教室にいて、帰っていくクラスメイトの背中を見送る。なんの代わり映えのない、毎日。




「バイト休み?」

「うん」

「じゃあ行こう」

「うん」




バイトが休みの、今日みたいな日は、館川くんと図書館に寄る。予習をして、本を読んで、やっぱり会話はない。


だけど好きな時間。落ち着くんだよな。館川くんといる時間は…。



ブー、ブー、ブー、



携帯がバイブの音をたてて、メールがきたことを知らせた。

携帯のアドを知っているのは、数が限られてる。





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晩飯いらない
――――――――



はい、と一言返事をして、携帯を仕舞った。それからまた、本を読む。



「藍沢、そろそろやばい」



ふと、時計を見ると、11時。12時に閉まる図書館って、本当に便利だな。



「送る」

「私、もう少しいるよ」

「…わかった」

「気を付けてね」

「ああ。藍沢も」




優しく細められた目。


また鼓動が不規則に、なっちゃうじゃん…。


それから閉館になって、家に帰った。