それから1週間後。夏休み1日目。私は今、彼と学校への道を、歩いてる。
重苦しい無言に、息がつまりそう…。
「あー!ちー!」
後ろから、大声で私の愛称を、呼ぶ聞きなれた声が聞こえて、振り向いた。
「おはよう、ちー!」
止まらずに突進してきた友人に、つい危機感を感じて避けた。
彼女は石に躓いてこけた。痛そう…。
「うぅ゙ー!なんで、避けるのーっ?」
「いや。ちょっと怖かった」
あの早さで、突っ込まれていたら、確実に私までこけていたよ。恨めしい目で睨まれたけど、仕方ない。あれは立派な自己防衛だ。
「おばさん、こんにちわ」
「こんにちわー。いつも茜がごめんなさいね?本当、学習しないから」
「いえ、慣れてますから」
おばさんは、ふんわりしていて、若いから、茜のお母さんには見えない。怒るとありえないくらい、怖いけど…。
「今年は三者懇談なのね」
「…はい」
「はじめまして。知那の保護者です」
「ご丁寧にどうも。ちーちゃんにはいつも娘が、お世話になってます」
彼は綺麗な笑顔で、茜のお母さんと話ながら、少し前を歩いた。
私は起き上がった茜と、並んで歩いた。
