ドンっ!


考え事してたら誰かにぶつかった


「った…すいません」


「いえこちらこそすいません」


あたしは立ち上がろうとしたら手を差し伸べられた


「どうぞ」


見上げた彼の顔は街灯の光であまり見えなかった


「…ありがとうございます」


あたしは慣れない手つきで彼の手をつかんだ


彼の手は暖かかった


久々の人の温かさに戸惑った


「あの……家まで送りますよ?」


「いえ…」


彼は送ると言ってくれたけど断った


だって帰る場所なんてない