探偵事務所は休業中

羽兎は構わず話を続ける。

「私、そこの探偵事務所で助手をやっていたんです。
いわゆるワトソン役でした。ワトコって呼ばれてたんですよ」

「ワトだけにねぇ……」

「いやいや、冗談抜きで」

「で、誰なんスか？そこの所長は？」

「……三雲紘哉です」

「三雲紘哉か……」

名前を聞いた瞬間、霞の眉が少し寄った。

何か因縁でもあるのだろうか。
羽兎は不思議そうに霞を見つめた。

「霞さーん？」

「……なんスか？」

「そんな難しい顔して、何かあったんですか？」

「何でもないッスよ」