ヒキコモリンコ


親父が運転する車の中で、俺達は少し会話をした。

たいした意味もない、他愛のない会話。

帰ったら、ちゃんと伝えよう。
看護学校に行きたいってこと。

もし反対されたら自分でバイトしてでも行こう。


なんだろう、この感じ。

勉強したい。
人と触れ合いたい。
堂々と直美さんに会いたい。

なんだ……やりたい事なんて、いっぱいあるじゃないか。


車の窓から外を眺める。

流れる景色や、
笑顔の溢れる人の顔、
朱い空。

目に映る全てのものが、
涙が出るくらい綺麗に見えた。




【完】