家の方が少し落ち着いてから、親父は病院に挨拶に行くと言った。

そして当然と言うか、俺も連れて行かれた。


担当の医者や、ナースセンターの看護士さんに挨拶をして回る。


「それじゃ、帰るぞ。」


そう言って帰ろうとする親父に、俺は言った。


「じいちゃんが、じいちゃんと俺が凄くお世話になった人が居るんだ。」


親父は俺を振り返り、そうか、と答える。


「その人にもちゃんとお礼を言いたい。」


親父は少し考えて

「じゃあ言って来い。俺は車で待ってる。」と言った。


そして俺は走り出した。