今朝は晴れていたのに、午後からはシトシトと雨が降り出した。 秋も終わりに近づき、外の空気はもう冷たい。 病室から見える木々もどんどん寒々しい姿になってゆく。 俺は丸椅子に腰掛け、病室の窓辺にもたれる。 今日はあの古ぼけた小説を読んでいた。 何度も何度も読み返した、あの小説。 この小説を俺に与えてくれたこのじいちゃんは、ぐっすりと眠っている。 最近、具合が悪い日が続いている。