その日も僕はカードショップにいた。

生憎の雨、
日本橋の中心、オタロードに面するいつもは賑わいのあるその店も、今日ばかりはがらんとしていた。

基本的に待ち合わせなどはしていない、いつもはここにくれば誰かしら知っている人間がカードゲームをしていたから、そんなもの必要なかったのだが、今日は身内が誰も見当たらなかった。

まぁ雨だし、仕方ないよな・・・
そう思ってただひたすらにカードをいじっていた。
カードゲーマーにとって、デッキ内容の調整、一人回しは大切なことだ、別に一人でいようと苦ではない。

「あ、みんないるー!良かったー!」

不意に聞こえた高い声。
最近は女性のカードゲーマーも増えつつある。
が、まだまだ男性に比べれば少ないもので、ついつい声を聞くとそちらを向いてしまう。
店のはしっこのテーブルを陣取っていた4人のグループの中に女性は入っていった。

どうやら僕がしているのと同じカードゲームをしているみたいだ。

どうせ一人、向こうも先程の女性が入って奇数になった。声をかけてみる。

「もしよかったら、勝負してくれませんか?」

まずは先程の女性と席を代わった男性に声をかける。

「あぁ、いいですよ!」

その人は快く引き受けてくれた。