白の森

夕日が城の中にさして、白い壁を赤に染めていた。

アッシュは部屋に戻る途中で足を止めた。

ティアの声が聞こえた。

あの時、聞いたティアの歌声だ。

でも歌詞が違う。


悲しい心を

空を飛ぶ鷹に預けてしまおう

遠く

遠く


涙を流す想いを

地を駆ける鹿の背にのせてしまおう

遥へ

遥へ

恋しく思う心は

心の奥へ沈めてしまおう

深く

深く

日が落ちることと

同じように

無に帰すように

願う