白の森

けれど、未だにスタンの補佐としての隣は開いていた。

自分の帰りを待っていてくれるのだろうという、スタンの気遣いが心に沁みた。

「それをココから出さないなら。いつ来ても良いから。だからご飯だけは食べて」

ティアはそう言って、去って行った。

アッシュは気付かなかった。

ティアの目の悲しみも、彼女の中に芽生えていた感情も。



ティアは階段を上がりながら胸を押さえた。

目からは涙が溢れてきていた。

胸が苦しくて息ができない。

こんなことなかったのに。

階段を上りきると、その場にしゃがみ込んで泣き出してしまった。

涙が止まらない。

「う・・・んん・・・ふっぅ・・・」

口を押さえてアッシュに気付かれないように泣き続けた。

アッシュが突然、自分を避けたのかが悲しかった。

スタンのことに反応したアッシュが憎い。

あんなに優しくしてくれたのに、いきなり突き放すなんて・・・

自分の何が悪いのかはティアは分からない。

自分はただ森の平和を、ただ生きているためにしていることなのに。

理解してくれたと思っていたアッシュすら分かっていてくれなかったことが悲しかった。