白の森

鳥は舞い風を呼び

風は種を運ぶ

花は咲き乱れ

月は満ち命を恵む


歌の意味など分からなかったが、無性に懐かしくなった。

自分の中の何かをざつかせる何かが、歌にあった。

繰り返す歌に導かれるように納屋のドア開けると、女がいた。

「誰?」

大袈裟と言う程に肩を揺らして振り向く女の顔が幼く見えた。

途端に静かだった納屋に鳴き声が響く。

鶏、アヒル、羊、山羊、馬、牛、突然のアッシュの乱入にパニック状態だ。

「マーニャ落ち着いて、大丈夫よ!大丈夫…」

暴れる馬を女が宥める。優しく声をかけて首と顔を撫でる。

「出て行って」

強い口調で言われて慌てて納屋のドアを閉めた。