白の森

ついに森から開けた場所に出た。

真っ白な大きな城が二人の目の前に広がる。

「ここがお前の家か」

「そうよ」

女は、大熊からスタンを下ろすと家の中に連れて行く。その一室にスタンを連れて行き、ベッドにスタンを寝かせた。

薬草の効果か、スタンの出血はすでに止まっていた。女は傷を消毒し、キレイな布で傷を巻いた。

ここでようやく、安堵の息をつけた。

「ここで待ってて。今、飲み物と食べ物を持ってくるから」

そう言って女は部屋から出て行った。

「スタンさん、大丈夫か?」

ベッドの傍らに腰掛けてスタンに声をかけた。

「あぁ、彼女の言うとおりだ。だんだん、痛みが出てきた。これが、生きてるってことなんだな」

「アイツが、多分、この森の魔物だ」

「魔物?彼女がか・・・、しかし、あんな優しく温かい手をした娘が魔物なんて」

「魔物じゃなければ、魔女だ。あの知識、手際、みたことない」

今の時代、医師と呼ばれるもの以外が、医療行為を行うことを禁止しているというのに、傷の処置の仕方までをしっていた。

咄嗟に頼ってしまったが、女は禁を犯している。

あんな凶暴な動物をあんなにも簡単に使役している女が何者でもないわけがない。