話で聞くと、あたしの高校の図書室は大きいらしく、あたしの探している本があると思っ
た。
『…キミイロ……き…き……
……きがない。』
“き”から始まる列がなかなか見つかんなくて…
―ドンッ
必死に“き”を探してたら、君にぶつかったんだよね。
『わっ、すいませんっ!
…あれ?』
そう、君が持っていた本は、
まさにあたしの探していた本で。
『あ、あのっ!』
『ん?』
『その本、貸して頂けませんか…?』
『んー、ちょっと待ってね。』
と言い、君は誰かに電話を掛け始めて。
『あー、…うん、そうそう。いいかな?
……おう。じゃ。』
『あの…『いいぜ、貸してやる。』…ありがとう、ございます。』
…今思えば、まだ名の知れていない掛け出し作家の“来栖悠未-くるす ゆうみ-”の本が、置いてあるとは限らなかったのに。
因みに、来栖悠未は竹琉のお姉さん。
あの時の電話の相手は悠未さんで。
わざわざあたしの為に許可を取ってくれたらしい。
それから竹琉伝いに悠未さんに感想を言ったり新作の内容をちょこっとネタバレしてもらったり。
そんな事をしているうち、竹琉とあたしは仲良くなって。
そして、竹琉が告白してくれて付き合う事に。