「何で、他の子には優しくするの?

何で、あたしにだけ冷たいの?

何で、付き合ったの?

何で―――」

―ギュ

何で、嘘つくの―?
 あたしがそう聞こうとすると、何かに包まれた。
その正体はすぐにわかった。

竹琉の“腕の中”だと。

「な…にっ…!」
「聞いて、美空。」

「嫌だ!聞きたくない!やだ!嫌!やだ!嫌!」

それからあたしは“やだ!”と“嫌!”をひたすら繰り返した。

「……美空…聞いて………」

すごく、寂しそうな…、儚く崩れ落ちそうな…
初めて聞く、竹琉の絞り出すような声。

その声に、あたしは思わず

「…うん」

言ってしまった。