「…呆れておいででしょう。 兄の言葉さえ聞けぬ、弱い私に。」 マクサスは、いいえ…と首を横に振る。 「ティアラ姫、決してそのようなことはございません。」 マクサスのような城仕えの医師でさえも、ティアラが実兄に疎まれていると噂には聞いていた。 だが、噂と実際に見た光景は全く違うものだったのだ。 その噂の姫が漆黒の闇しかない地下の独房に閉じ込められているなど、誰が想像したことか。