囚われの姫








「お待ち下さいっ!

…どうかっ…明かりを戴けませんか……?」





恐怖に奮えそうになる声を必死に抑え、ティアラは出て行こうとする兵士たちに縋った。




ここで言わなければ、牢から出るまでたった一人で暗闇に耐えなければならない。



ティアラは必死だった。





………だが。





「明かり?

…そんなもの、殿下はおっしゃられていなかった。


迎えが来るまで我慢しろ。」






その声には隠そうともしない苛立ちがあった。





「っ……。


……そう…ですよね。

無理を言って…申し訳ございません………。」



「…………。」





兵士たちは顔を見合わせたが…何をするでもなく、ぺたりと床に座りこんでしまったティアラを残して蝋燭の明かりとともに、これ以上面倒なことには巻き込まれたくないと言わんばかりの速さで、階段へと消えて行った。