昔、文献でこのゼナの地下に広がる牢屋について読んだことはあったが、実際に自分がここに来る日が来ようとは…。




真っ暗な牢の中を見ていると、せっかく固めた決意が崩れそうになる。






(泣き言は言いたくない……けど…………。)




決心をしたとはいえ、ティアラはまだ17歳の少女。


暗闇が恐いのも無理はない。




しかも…この兵士たちが地上に戻れば、ティアラは暗闇の中に置き去りにされてしまう。






「入れ。」





ガチャリ…と鍵の外れる音がするのと同時に、ティアラは無遠慮な兵士の手によって、真っ暗闇の中に押し出された。