「申し訳ありません…。」 ティアラの丁寧な物言いに兵士たちは一瞬驚き目を見開く。 だけどそれだけだった。 噂に聞く悪人の思いも寄らぬ行動より、自らの食欲や眠気が勝ったようで。 「五十八番牢…ここだな。明後日の朝に迎えが来る。」 開けた空間が蝋燭の明かりで照らされ、その姿を現した。 …そこは、光が届く範囲に見えるものは独房だけ。 長い廊下の左右を均等に並んだ鉄格子がずっと奥に続いている。