囚われの姫




「ティアラ姫であらせられるな?」


図太い声にがっしりとした大きな体。

その出で立ちはまるで、大きくて黒い獰猛な熊のよう。




「オルガー…お前だったのか…。」



ホッとしたようなアルクの声に、オルガーと呼ばれた男は顔をしかめてみせた。




「お前が登ってからいつになっても降りて来ないもんで、セロク殿下が痺れを切らしている。

早くしないと、ティアラ姫の罪になるのだぞ!?」



「…そんなのは分かってる。」



「分かってないだろう!」



どうしたらそんな大きな声が出るのかというほどの怒声を、オルガーはアルクに浴びせた。



「ティアラ様にようやく自分の気持ちを伝えられたからといって、お前だけ浮かれていても仕方ないだろう!


だいたい、お前がティアラ様を下にお連れするのが遅れるほど、早く出陣したいセロク殿下の苛立ちが高まるんだ!」