囚われの姫




この近すぎる距離に、そして見たことのないアルクの雰囲気に、どうしたらいいか分からなくて、ティアラは声を絞り出す。



本心ではないかもしれないが、好きだと言ってくれた彼には、自分の口から話したかったのだ。




「アルク様…ターニャ様とのお話…お聞きになったでしょう?

…私に…もう時間は残されていないんです…。」


「…ええ。存じております。

ですが…それに何か問題でも?」



耳元に熱い吐息がかかり、ティアラは恐怖とは違った震えを感じた。


それに…彼の普通すぎる返事は、ティアラの調子を狂わせる。



「ですからっ…!


私…アルク様とも…お別れしなければ……。

なんのお礼もできずに…申し訳ありません……。


いつまでも、あなた様のご無事を祈っています…。」




…と、アルクはいきなり自らの人差し指をティアラの柔らかな唇にそっと当て、その先に続くであろう彼女の言葉を止めた。