「あなたは……。」
ターニャの姿を見た途端、ティアラは恐怖に体を震わせる。
彼女の脳裏には…この塔に連れて来られた日のことが走馬灯のように思い出されていた。
ティアラを塔に閉じ込める最終判断を下したのは、外ならぬターニャだったのだ。
「ティアラ姫、ご機嫌麗しゅうございます…。
あの世に行く前に、素敵な夢が見れましたかしら?」
ティアラの震えに気づいたアルクは、彼女をターニャから庇うように自らの背を壁にし、落ち着かせるように抱きしめる。
「ターニャ殿…なぜここに?」
ニヤリと笑うターニャをアルクは鋭く睨みつけた。
「あら、私より殿下がいらっしゃったほうがよかったと言うの?」
