「アルク様……そのお召し物は……。」
ティアラは小さな不自然さを瞬時に感じとった。
彼は…いつももっと動きやすい服を城の中では着ていたはず。
(胴着を着ているなんて…まるで、今からすぐにでも戦場に行くみたいじゃない。)
「ティアラ様……」
アルクはいつもと変わらない、だけど…どこか寂しげな笑顔でティアラの名を呼び、おはようございますと腰を折った。
「ティアラ様、お気づきかもしれませんが…。戦が始まります。
セロク殿下はシャターナへと今日旅立つ予定です。」
「シャターナ…?
あの…雪に覆われた北の国ですか?」
