これまでのアルクは戦に行く前だがなんだろうが、いつも笑顔だった。
もっとも、ただたんに恐怖を自分の心の中に留めていて、表にださなかっただけかもしれない。
…だが、それにしても、ここ最近のアルクの沈みようと言ったら……。ご飯も喉を通っていないのではないかというほど、それほど彼はやつれていた。
(私が聞くべきことではないのかもしれないけど……。
でもアルク様の力になりたい。アルク様のおかげで、私は今まで朝食が食べられたんですもの…。)
今日こそは勇気を出して聞いてみよう、とティアラが決意した瞬間。
下から聞こえて来た彼の足音は、いつにも増して重ためな響きで…。
「……失礼します」
鍵を外し扉を開けた先には…戦いのため甲冑の下に着る胴着を身につけたアルクが立っていた。
