いつもは自ら城で起こった出来事などをおもしろおかしく聞かせてくれるのが常だった。



…だが、ここ数日のアルクはどこか暗い顔をしていて、ティアラの話す言葉さえも耳を通り抜けていくだけのようだった。




(アルク様…大丈夫かしら……)



今までも何度か、アルクが戦で数日を留守にすることがあった。



その時は当然、ティアラを幽閉した張本人である王セロクも城を留守にするので…。



ということは、あの占い師のターニャも城からいなくなる。つまりは、セロクの息のかかった腹心があらかた城から出ていくということで。




そんなとき、アルクの代わりにティアラに朝食を届ける役目を買って出たのが、マリアとアリアの乳母であるノチカだった。