幽閉された妹を気遣う様子も見せず、気にするのは自分がこれから仕掛ける戦のことばかり。
まあ、その妹を幽閉したのは他ならぬ兄である王なのだから、当然と言えば当然なのかもしれないが…。
だが、アルクには不本意でならなかった。
幽閉した理由も、首を傾げたくなるような、大層な理由ではなかった。
髪の色と瞳の色が違うだけで、ティアラはこの兄に疎まれることになってしまったのだから。
「ルシカと隣り合う北国、シャターナを落とす。
あれは巨大な鉱山をたくさん持っている。
ルシカの鉄鋼業を強くするいい機会だと思うのだがな。」
自分の斜め前を闊歩する王の言葉のほとんどは、アルクの耳を右から左へ流れて行くだけだった。
「アルク、聞いているか?」
