囚われの姫












「…いいえ、違うんです。

…天に召されるまで、誰にも迷惑をかけずに生きよ、と言われました…。

それにも関わらず、私はあなた方の好意により、牢から救ってもらい、先程倒れたさいもこちらまで運んでもらって…。

私が弱いために、あなた方に迷惑をおかけしました。


私は…あの地下牢から助け出されてはいけない者だったんです。」




自分で言っておきながら涙が零れそうになる。






「私は…」




『お前は俺の母上を殺した!』





瞼を閉じると、まだ若かった頃の、記憶の中のセロクが、今の自分に叫ぶ。




『お前は、死をもって、この世に生まれ落ちた自らの罪を償うのだ。』




ターニャに幾度となく言われた言葉は、強い暗示となって、ティアラの体を縛る、姿の見えない”鎖”と化していた。







「……私はっ…処刑されるべきだった………」






我慢できずに、溢れた涙で視界が曇る。



でも、せめて泣き声は上げたくなくて、ティアラは唇を思い切り噛んだ。