「颯ー。かーえーろぉ~」


「おぅ。今行くー」


カバンに筆箱だけを入れて肩にかける。


ドアの前には愛しいキミが待っている。


「もう、テスト週間なのにいいの?教科書。」


――――コロン


真白がしゃべるたび、口の中の飴が音を立てながら俺に、甘い匂いを届ける。


「いらねぇよ。俺が勉強すると思うか?」


「思わないっ!」


屈託のない笑顔でキミは笑う。


その度、俺は赤くなった顔を見られないように顔を逸らしてしまう。