見えたのは、少年。
ううん、よく見たら違う。
背中に翼が生えているから…
「天使?」
「ふん。それがどうした。」
死後のお迎えは本当に天使のお役目だったのか。
想像と違うのは性格だけ。
天使はひねくれ者だった。
「ここは、あの世?」
「違う。あの世とこの世の境だ。」
何度もされてきた質問なのか、天使は鬱陶しそうだ。
それなら早く本題に入ろう。
「私、死んだ?」
「あぁ、死んだ。」
これもお馴染みの質問みたいだ。
でも、死んだ事を確認できたのなら、もういい。
「じゃあ、早くあの世へ連れていって。」
そう言った私。
天使は鬱陶しそうな仕草を止めた。


