天使のサイコロ



すると、公園の入口近くにふらりと人影と小さな赤い光が見えた。

辺りはすっかり暗くなり、その人物の顔ははっきりとは分からない。女の人、かな?タバコを吸いながらこっちに歩いてくる。



なんとなく気まずくて、気づいてない風に視線を泳がせる。




「……あ。」



小さく聞こえたその声に、私は近づいて来る人物へと視線を戻した。





「あ。」





バカみたいに同じ言葉を発して、その先が出てこない。

名前を呼ぼうにも、知らない。

確かにつるんでいた覚えはあるけど、名乗り合うような健全な関係では無かったから。


それは、あっちも同じみたいで、少し考えるような仕草をしてからタバコの煙を吐き出すと、隣に腰掛けてきた。