光が見えた。
霧がかった世界に目が眩むような光。
天使はその前でこちらを待っていた。
私は光に引き込まれるように近づいた。
「キレイ……。」
思わず言葉が出た。
この光があの世への入り口?
なんて素晴らしい終わりの為のスタート地点なんだろう。
「さあ、ここを通ればいい。」
天使は見惚れている私を急かすように言った。
「ありがとう。」
なんだかんだでちゃんとあの世へ導いてくれた天使に一応お礼を言う。
「じゃあね。次は自殺者に当たらないといいね。」
そんな軽口まで叩ける程、私の心は浮かれていた。
そして、光へと進む。
天使は何も言わず、相変わらず無表情だった。
光に飲み込まれる。
何も見えない…
わからない…
あっ…
天使が…笑った……?