「なによ。」
しばらく続いた沈黙に耐えきれなくなって、あたしが口を開くて天使はフイッと目を横にやって、
「別に。」
とだけ言って、また不機嫌な顔になった。
「で、さっきも言ったけど、私は生き返らせてもらわなくていいから。さっさとあの世に案内してよ。」
「ムリだ。6が出たからには、生き返ってもらわないと困る。こっちも仕事なんだ。」
「拒否権は?」
「ないに決まってるだろ。じゃあ、この世に戻る際の注意事項だか…」
「ちょちょちょ!ちょっと待った!なに勝手に進めようとしてんのよ!いいって、生き返らなくて!他の人に権利を譲る!」
「それも出来ない。」
「じゃあ、どうすればいいのよ…」
がっくりと落ち込む私に、天使がまたため息をついた。
「全く。お前ほど死にたがりな奴は初めてだ。」
「自殺者なんだから、当たり前でしょう。」
「いいや。自殺した奴だって、なんらかの未練があるもんだ。それで、生き返ることが出来ると知ったら縋ってくるもんだ。なのにお前は、その奇跡的に巡ってきたチャンスをも捨てようとする。」