「…今のは、なし。……とりあえず、名前教えろ。」



目を瞑る私に、突然名前を尋ねてきた。



「人に聞く前にまずは自分から名乗りなさいよ。」





「そう…だな。俺は、…神山新だ。お前は?」



意外にすんなりと言った名前。



神山新…。



「あらた…。あぁ、王子様?」



私はニコッと新に微笑む。




密かに警戒心を持ちながら。






「まぁ…そうだ。」





神山新と言えば、入学式が終わったその後、学校中の女子に囲まれ告白されまくったっていう伝説を作った男だ。



しかも、その大体の子は今まででほぼ喰われたらしい…






私は、入学式はサボって寝ていたのもあって神山新のことは名前しか知らなかった。




…と言うよりも、この約半年は大体をこの空き教室で過ごしていたこともあって顔を知らなかったのだ。