「また来るぜ、お姫様?」
そう言うと、彼は急に立ち上がる。
「もう、来なくていい。あなたに来られたら 、私の安眠の保証がないもの。」
私は、新をじっと見ながら言う。
そんな私の様子に新は、フッと笑う。
「いや、また来るよ。」
ゆっくり歩きながら嫌なことを口にする。
でも…まぁ、とりあえずは出ていってくれる様だ。
私は少し安心して目を瞑り寝る体勢をとる。
「…これはお近づきの印だ。」
-ちゅ
そんな油断をした私の唇に柔らかな感触。
「なっ!?」
千尋は慌てて目を開ける。
文句を言おうと彼を見ると、手をひらひらと振 りながら、もう片方の手をドアにかけ、出てい くところだった。
…素早い。
