いつもより肩が重い。
それに最近、疲れているようだ。
悠は肩を自ら揉みながら近くの自動販売機へ向かった。

何を買おうか、自動販売機に並んでいる商品を見渡していると聞こえてきたのは女の人の声。どうやら背後に二人いるようだ。

「ねえ、聞いた?また、504号室に患者が来たみたいよ。」


サスペンスとかではよく見る光景。中年の女性の噂話だ。それも自分の。


「お気の毒に、見放されたんでしょう」



ちくり、と胸に刺さる。
見放されたんじゃない。
早くその場を立ち去りたくて、別に飲みたくもないりんごのジュースを買ってすぐさまその場を立ち去った




「あそこに入った患者、近いうちに亡くなるものねー。しかも…出るらしいよ」


「出るって…?」

「幽霊よ!この前池上さんが言ってたもの!黒い髪の女が立って睨み付けてたんだって…だから、呪いの部屋って言われてるらしいの」


「嘘…彼処のお掃除行きたくないわー。」