荷物も後から運ばれて来て、小物を部屋に置くとすっかりやることもなくなってしまった。
ベッドに腰を掛け窓から空を見つめる。
前の病室でも1日中そうしていた。
親は体を気遣うばかり外には出してくれず、やることと言えば限られてくる。
テレビだってお昼にやっている番組は、サスペンスや旅番組ばかり。12歳の子供には些か退屈である。
人生の半分はそうやって過ごしてきた。
余命を告げられて冷静に居れたのは多分、このためだと悠は考えた。
好きな人も、友達もいない。
人生があと3ヶ月で終わるとしても日々の生活は変わらない
俯いてため息を漏らした
カーテンが風に舞う
――――カチャ
ふと、背後でドアが開く音がした。佳奈子さんが忘れ物でもしたのかな、そう思い後ろを振り返る。
ドアの向こうには誰もいなかった
風の仕業だろう、深くは考えなかった
