「逃げるってどうかな、お願いきいてって言ってるだけなのに」

ニヤって笑って小声で言う。


「で、こちらはお買い上げでいらっしゃいますか」

「いえ、結構です。すみません」



「俺、あと10分でここ終わるから横のカフェで待っててよ」

「・・・」



「お客様、このシリーズですと、OLモノで、SMプレーのももちろんございますよ、例えばですね・・・」

声を張り上げてヤツがしゃべり始める。


「わかったから。わかった。わかった。待ってる。」

「もう、素直じゃないんだから。
じゃ、後でね。

その本、返しといてやるよ」


きれいな顔して悪魔みたいなヤツだ。