新撰組(仮) 二

名前がわからず、そのことを沈黙を通して言外に伝える。


この人誰?


この宴の出席者の顔と名前は必至で覚えたはずなのに、目の前の青年のことは、どんなに頭を捻っても出てこなかった。



しまった、緊張しすぎて記憶が抜け落ちた?!
死ぬ思いで頑張って覚えたのに‼



何たる不覚……!!と内心焦りまくっていると
青年は、優雅に微笑み形の整った唇を開いた。



そして、大げさに驚いてみせた。





「あぁ!!私としたことが。


 こんなにも美しい人を前に、自己紹介を忘れてしまうなんて!!」




うざすぎるくらいの大げさな反応にきな臭さを感じ、イラついていることなどつゆ知らず、青年は、左手を額に、右手を胸元において、盛大に眉を寄せ、嘆いてみせた。



あ、ダメだ。
この人、根本的に私の嫌いとする人種だ。


奏楽は直感的にそう感じた。

それにもともと、
こういった場所は得意ではない。苦手だ。


どうにかして早く帰りたい。




そう思っていると、視界の隅に
左大臣と話しているおじ様の姿が見えた。




・・・私を早く帰そうとしてくれているのだろうか?





「それよりも」



叔父様立ちの方に気を取られていると、
いつの間にか青年が私の手をとっていた。



そのことに鳥肌が立ちまくるのを感じながらも、とりあえずお偉い方だからと我慢していたが、次の言葉に本気で殴り掛かってやろうかと思った。



「あなたのような美しい人の名前を是非とも知っておきたい」



……………ダレカ、タスケテクダサーイ。