新撰組(仮) 二

私は教わった通りの発音の仕方で抑揚のない声を発した。


「お初お目に掛かります、天皇様」


優美に微笑んだ奏楽にその場にいた誰もが息を呑んだ。

その光景に当の本人は全く気にした様子もなく、教わった通りの言葉を連ねる。


「天皇様におかれましては----」



最初は天皇様のご機嫌取り。



「此度の宴、真に嬉しく思います。」



----教わった口上を無事に述べることに成功した私は、
頭を下げながら、
これで帰れる・・・と、
そっとため息を吐き出した。



「私も、次代の先見の巫女が無事、18という記念すべき日を迎えられたこと、嬉しく思います。」


頭を下げながら左大臣の言葉に耳を傾ける。



「-----では、巫女殿も席に着かれて。」


?!


うつむいていていたものの、私は内心焦った。


………まだ、帰れない?!


動揺を気づかれないように眼だけ、私の右側で幕臣たちと一緒に座る
おじ様の方に向けたが、おじ様も固い表情をしていた。


どうすることもできなかったのだと察した私は、
仕方なく、用意されていた席に腰をおろした。

座ってすぐに隣の青年に声をかけられた。


「はじめまして。次代の巫女」


ふと、隣を見るとそこにいたのは美しい青年だった。


「はじめまして。……………?」