新撰組(仮) 二

二階と思われるそこには誰も立っていなくて、床には倒れた複数の浪士に、その下に広がる血の海。


その中央にかろうじて蹲った状態で浅黄色を羽織った誰かが、荒い呼吸を繰り返していた。



(…沖田さん?)


その誰かは沖田さんで、口を覆った手には血がこびりついていた。


なんなのかわからなくて唖然とする私をよそに、情景は続く。



ごほっと咳き込んだ沖田さんの口から血が溢れ、そのまま沖田さんは倒れた。


沖田さんを浅葱色の誰かが焦った様子で抱え上げ、階下に降りていった。





そして浮上する意識。


「奏楽ちゃん!」



はっとして前を向くと心配顔の沖田さんがいた。


「大丈夫?」


「…沖田さん…」


荒い呼吸のまま、沖田さんの肩をがしっとつかむ



「どこか、体調悪いとかありませんか?!」


「え、どうしたの奏楽ちゃん…僕はいたって健康だよ…?
 食生活も改善したし…
 僕より今は奏楽ちゃんでしょ?
 ねぇ、大丈夫なの?」