新撰組(仮) 二

(あれ…?)


味噌を投入するのを今か今かと見守っていた私は、一瞬動きを止める。


横には確かに今まで待っていた、味噌を投入しようとしている沖田さんがいるのだが…



(味噌の量が普通だ…いや、それより若干少ないくらい?)


恐れていた事態は起きなくて、代わりに驚きの事態が起きていた。


普通だったのだ、沖田さんが入れた味噌の量が。

そしてその量で味見して、満足げに頷く沖田さんがいた



(前まではあんなにたくさん入れてたのに…
 それこそ、病的なまでにたくさん…)



そのことに唖然としていると、頭にキン、とした痛みが走り、咄嗟に頭に手を添えた。


そして直後に頭が割れるかと思うくらいの痛みが走り、視界が歪む。



(なにこれ…いや、これは…)


先見だ。



「あれ、奏楽ちゃん?」


沖田さんの心配する声が聞こえた。



と同時に、頭に情景が映り込む。


(ここはどこだろう…剣戟の音…新選組の羽織…に浪士たち?)


どこか分からない屋内で、新選組の羽織を羽織った人たちと、浪士たちが刀を交えていた。


そしてそこには顔色の悪い平助さんが対峙していて…次の瞬間には、血を流して倒れていた。


(え?!)



また情景は移り変わる。



(ここは…二階?)