新撰組(仮) 二

「…急なことで驚かれたことでしょう。
 旦那様から文を預かっております。」


手渡された文をあけてみる。



『愛しの愛しの奏楽へ。



 奏楽を愛してやまないおじさまだよ♡

 急なことでごめんね、いうの忘れてた
 
 奏楽と千春の護衛として久佐波を真選組に潜入させました


 よろしくっ♡♡


 奏楽と千春を愛してやまない、この世で一番、いや宇宙一、奏楽を愛しているといっても過言ではない、この世の何よりもだれよりも奏楽と千春を----』



というところで文を仕舞った。
最後の署名のところが長すぎたが無視した。



「このことを千春は?」


「存じております。」


久佐波さんは恭しく目礼した。


(はあ…
 前もって知らせておけば断られると思ったのかなんなのか…
 また私の知らないところで…)


「では、三人は知り合いということは伏せておいたほうがいいですね。」



「そのように致しましょう。」



「わかりました。」



うん、とひとつうなずいてでは、と去ろうとすると久佐波さんにひきとめられた。


「奏楽様、この任についている間、私の主は奏楽様の指示に従えとの命を受けました。なんなりとお申し付けください」


「…わかりました」


「それでは、失礼いたします」



遠ざかる背中をぼーっと見つめた

(まぁ、だからといって何か命令しようとは思わないんだけどね。)