新撰組(仮) 二

「そっか…
 あの二人はね、まだ、恋仲ではないよ」



「ほんと…?」



縋るような目で山崎さんを見つめる私に、山崎さんは朗らかな笑顔をくれた。




「うん。
 時間の問題だとは思うけどね…」



あはは…と笑ったのは、好きではないと即答したけど二人の仲について泣くほど気にした私への気まずさからだろう。


本当に斎藤さんは好きなわけではないのに。
いや、まあ、確かに好きではあるけど、その…隊長として好きなだけであって…ね?



「…ち、千春が、」


「うん?」


「…私のいない時に、ど、どこか、遠くに行ってしまうのが、こ、こわっくて…‼」



そう。
私が恐れていたのは、それなのだ。

この組の中でゆいいつ私の正体を知っていて、協力してくれる千春。
その彼女が、私のいない間に、どこか遠くに行ってしまうのが怖かったのだ。



そういって泣く私に、山崎さんは目を細めて、優しく背中をさすった。



「そっか…
 斎藤隊長に嫉妬してたんだね」



(…嫉妬)


そうか、私、斎藤さんに嫉妬して…って、


「は、恥ずかしいいいいいいいい!」


気づくや否や、真っ赤に染まった顔を両手で覆って体を丸める私に山崎さんはぎょっとしたような顔をみせた。