新撰組(仮) 二

そんな会話が広間であったことなど、当の本人は自室にいたので知らない。



屯所に帰ってきて、真っ先に部屋に駆け込んだ。

本当ならば、今は広間で夕餉を食べているはずだった。



けれど。



どうしようもない、不思議な感情が込み上げてきて幹部らの前に顔を出す余裕などなかった。



きちんと気持ちの整理をつけなければ。


何の感情かも分からないものを抱えながら、土方は自室に戻ってきた。



すでに、沖田に夕餉はいらないと伝えておいた。



その様子に、沖田は何も怪しがることなく逆に悲しそうな顔をして頷いた。




「ハッ


 ほんと、やってられねえよ…」





どうして、こんなにも胸が痛いのだろう。






総司に悲しそうな顔をさせたせい?


幹部らの前に顔を出せない、自分のこの情けない心のせい?





この感情がどういうものなのか、分からない。



ただ、胸が痛い。